鰤はこれまで様々な経験をしてきました。
殺人未遂事件目撃、詐欺師犯人襲撃、15人大量解雇。
鰤の生活はエキサイティングです。
そんな鰤の生活に新たなレパートリーが。
それがなんと、「告訴される」という実績を解除しました!!!
わーい!!
ここでは告訴されるとどうなるかというその生活を余すところなくドラマ化します!!
X1日
警察から電話が入ります。
「あー、山田太郎さんいますか?あ、山田さん、山田さんが、3年前に法人を設立した件で、お話し伺いたいです。今度、警察署まで来ていただけますか。」(山田太郎は鰤の本名です)
なんといきなり逮捕されるわけではありません。もちろん逮捕されることもあるかもしれませんが、鰤は日ごろの行いが良かったので、ぎりぎりセーフでした。日頃の行いで、逮捕されるかどうかが分かれます。
出頭する義務はありませんし、取調べに応じる義務もありません。しかし、警察は「え?それでは被害者の言い分で手続進んでしまいますよ。」「全力で言い分を伝えましょう。」「検事さんから、2週間までなら言い分を証拠化してもらえると言われています。よかったですね。」とか言われて、応じさせようとします。弁護士は黙秘が原則です、などと言いますが、実際なかなか厳しいですよね。いや、ほら、説明しないと逮捕されちゃうかなって心配しちゃうのですよね。
正直、へんな言い訳するとあとで「嘘の言い訳をしていた。」「言い訳しているけど、まるっきり逆効果だ。むしろそれこそ犯罪だ!」「曖昧な言い訳しかできなかった。覚えていないのだろう。」などと弱点にしようとしてきます。要注意です。
この時点では、正直、何が犯罪なのかわかりません。誰が告訴したか、そもそも告訴かどうかも分かりません。
警察官は被害者の味方なので、被告訴者には教えてくれません。
鰤はこんなにかわいいのに、それでも教えてくれません。
ただ、警察官と話をすることで何を問題視されているのか情報を得ることもあるので、とりあえず話を聞きましょう。
もちろん被告訴事実が殺人とかだと問答無用で逮捕されるので、全力で逃げた方が良いかもしれません。
X2日
警察署に就くと、フレンドリーに迎えてくれます。
刑事は、すべてお見通し感で話をしてきます。
「あー、ほら、山田さん、3年前の春に法人設立しましたよね。そのせいで強制執行できなくなったでしょ。だから強制執行妨害罪ですね。」
どきどきどき!!!
実はめちゃくちゃ心当たりがあります。その件は裁判になり、壮大に負け、裁判官に馬鹿にされまくった件です。
裁判官に「うわ、こいつこんなことやっとるぞ」と言われました。裁判官に「こいつ」呼ばわりされたのは初めてでした。
「あー、あれかー。なんでこんなことになっちゃったんだろー。うーん・・・・」頭の中ではもはや般若心経を唱えるのみです。まさに般若心境です。
「債権者の金造さん、怒っていますよ。いや危ないですよ。こんなことしちゃ。」
警察官はありとあらゆることを調べる権利があります。私の戸籍とか、通話アプリラインの秘密工作とか、スリーサイズとか、全部丸見えでした。
自分が歌舞伎町でラブラブデートしている間にも、警察がせっせと収集した秘密ファイルのバインダー(電話帳のサイズの2倍ぐらい)が2冊もありました。やばすぎる!!
警察官は、時々、おれらは知ってるぜ感を醸す出すためのマウント行為だと思いますが、偉そうにバインダーをぺらぺら開きます。
「あれ?強制執行を行うための債務名義がありましたよね。債務名義があるっていつ知りましたか?今回問題になっているのは12月の件です。わかってますよね。」
「あれ?どうだったかな。」正直、債務名義の存在は4月の時点で分かっていましたが、わかってるよって答えてよいかもかわからないので、必死でハリウッドばりの演技力を活用します。
12月の件は、正直、記憶のかなたです。うっすらしか残っていません。正直、クリスマスパーティーかハロウィンパーティーかも覚えていませんでした。
「では山田さんの学歴とか聞いていきます。」
ほんとは警察は知っているかもしれませんが、わざわざ聞いてきます。年収とか、国家資格とか、いろいろ聞かれます。
「いやー、悪徳積子さん、背信行子さんのこと知っていますよね。お二人は全力であなたの責任だと言っていますよ。危険ですね。」
おおおおおお、関係者が私を裏切ろうとしているのか。たしかに裁判で負けたからなー。そう思いながら、仲間割れは敗北しかありません。ここは活路を見出すため、悪かったのは部外者黒幕九男が真犯人だと批判しました。
「はい。じゃー、今日はこれで」
いきなり調書は作成しませんでした。調書作成のための聴き取りで終わりました。
X3日
「今日は終電まで時間を用意しておいてください。」あらかじめそう伝えられ、このまま逮捕されるのではないかというドキドキ感を与えてくれます。
警察官「では、このイベントでお金があなたの口座に送金されています。これはなぜですか?」
いや、本当は請求したからやからです。しかし、請求したことが実行行為(犯罪となる行為)です。だから、そう答えてよいかわかりません。いや、正直、何が実行行為かを明示してもらえません。
鰤「あれー?どうしてかな?誰かが私の口座を伝えたのかな?」全く知らんぷりします。
警察官「請求書出しましたよね?」
鰤「・・・実はそういう記憶が・・・」
警察官「いいんですか?自白しちゃって。ここ重要なところですよ。」
鰤「いや・・・・うーん、よくわからないので、一応黙秘で・・・・」
警察官「まー、いいでしょう。」
請求書を送ったからで、その請求書は警察が抑えているはずです。それは見たらわかることなのですが、知っていてかしらないでか、それすらよくわからないままじらしてきます。
調書を2通作成しました。
1通は、身上経歴調書(生まれてからこれまでの人生等を走馬灯のようにまとめたもの)、もう1通は、普通の調書(今回こんな事件ですよっていう事実説明)です。
いずれも供述録取書です。
本当は「読み聞け」が必要です。警察官が、鰤と対話し、その内容をその場で聞き取り、パソコンで打ち込み、プリントアウトして、その内容をその場で、警察官が読み上げるという作業です。
でも、警察は読み聞けを省略することが多いです。プリントアウトしたものを交付して、「読んどいて方式」です。今回の警察官も読んどいて方式でした。(ちなみに2020年に殺人未遂事件を目撃した際の員面調書は「予め作成されている方式」でした。)
最後、調書作成に応じるかは迷いました。署名する義務はないのですが、どうしても署名してしまいます。
調書には、署名押印が必要です。ハンコがないと指印が必要で、気持ち悪いのでハンコを持って行きましょう。
「では、最後に指紋など採取させていただきたい。」
これは拒否しました。
かつ丼をいただけたら応じる予定でしたが、かつ丼はもらえませんでした。かつ丼の恨みは末代まで続きます。
x4日
「先日、ご協力ありがとうございました。早速ですが、検事さんが、取調べを行いたいと言っています。X5日に777号室の狩魔検事が担当です。」
うーん、なんか捜査が進んでいます。まずい気がするので、共犯者とされる悪徳積子さん、背信行子さんと打ち合わせを試みます。口裏合わせです。しかし、捜査が進むにつれて、疑心暗鬼が生じてきます。悪徳積子さんとは連絡がつきましたが、背信行子さんとは既読通知は付きますが折り返しがありません。
真犯人に仕立て上げた黒幕九男さんとは連絡は1年ぐらいとっていません。
うーん、ぴんちかな?
弁護士に依頼するか。
これまで何度か弁護士に依頼したことがあります。弁護士は大体金の亡者でお高いので好きじゃないです。
X5日
狩魔検事官の取調べ予定日です。小学校の遠足の前日と同様、前日から一睡もできませんでした。
逮捕されても大丈夫なように、過去から現在にかけて、全部の事情をまとめて陳述書を作ります。自分の強み、弱点などを分析して、噓にならないように、嘘を証明できないであろう所は大胆に、自分のストーリーを組み立てていきます。
前日から完成させたので、頭の中に完全にストーリーが入っていますが、徹夜で作ったので、めちゃくちゃねむいです。かるく自宅で仮眠して、検事に会いに来ます。
また、いい証拠も悪い証拠も全部、弁護人先生にあらかじめ郵送します。これで証拠隠滅ではありません。
検察庁に入ったことは何度かありますが、取調室に入るのは5年ぶりぐらいです。
「あー、山田さん、法人立てて請求したけど、法人の債権を法人名義で行使しただけっすよね?」
終了
いや、事実を明らかにすることも重要ですが、それをどのように評価するかということも重要です。後者は十人十色ですね。裁判官も、自称被害者も、警察も、鰤を批判していましたが、検察はまるっきりやる気ありませんでした。
